ミュージカル「黒執事 The Most Beautiful in The World-千の魂と堕ちた死神-」
原作:枢やな
脚本・構成・作詞:岡田麿里
演出・構成:福山桜子
音楽:岩崎琢
作詞・作詞監修:森雪之丞
振付:MIKIKO
出演:松下優也、田中偉登
良知真次、中河内雅貴、植原卓也、井出卓也、輝馬、鷲尾昇、河原田巧也、
松田沙紀、高木俊、寺山武志、和泉宗兵、佐々木喜英 ほか
6月9日に観ました。
まず観に行くのにいろいろ大変だった。
中河内くんの出演を知ったとき、原作知らないからあんまり行く気になれず、先行も申し込まなかったし、今回は見送りかなー、もし行きたくなったら一般でいいや~なんて思ってた。原作ものって原作知らないと設定とか人物関係とかわからなくてきついかなって思ったから。いまから原作読む気にもなれなかったし。
でも後々HP見たら中河内くん眼鏡で!!これは行くしかないだろうと!!(笑) あと中河内くんがトークイベで、ミュージカルといってもストレートプレイみたいな部分もあるし、ダンスも見応えあるから是非って言ってたのもある。
そんでチケ取ろうとしたら、既に完売してたっていう……。どんだけ人気なの!?完売って見たのライチ以来だわ…。ミュージカル三作目だし、原作もそんだけ人気あるってことなんだなあ。
友だちもチケ取ってなくて、一緒に行こうって言ってたから、譲渡探して。運よく友だちが見つけて交渉してきてくれたんだけど、日曜のマチネで。
仕事じゃん!!!!
泣く泣くおことわりして、どうしようどうしよう、って思ってたら、ライビュ決定!!生で観たいけど、ここまで来たら贅沢言ってらんない。仕事だから大千秋楽しか観られないし、当日券だと生だけど観えづらいだろから。結局西宮にライビュ観に行きました。物販は販売時間に行けないからマチネ行く友だちに頼んで、公演後受け取った。(笑)
大千秋楽ってすごいね……カーテンコール30分もあったよ。(笑) どんだけ出てきてくれるんだ。(笑)
感想。行ってよかった。ほんとよかった。
一応ウィキさんとパンフであらすじと、登場人物のかんたんな設定見て行ったんだけど、充分でした。特殊な物語設定なのに、とても話わかりやすくて、すんなりと世界に入っていけた。人物もたくさん出てくるんだけど、それぞれにポジションと個性がしっかりとあるから、覚えるのが苦手な横文字の名前も観劇中にみんな覚えられた。
笑いが随所随所に散りばめられていた。掛け合いが軽快で、ちょいちょいネタを仕込んである。いちいち面白くて、楽しかった。
それと反するようにシリアスシーンはしっかりと黒くて、“悪魔””死神”という登場人物たちになぞらえて、怪しくて不思議な雰囲気だった。この笑いとの融合性っていうか、比率が絶妙で。
特にアランとエリックの死のシーンのあとに、グレルたちが陽気に笑いを取っていくんだけど、うまく笑えない。まだ前のさみしさを引きずっていて、でもそんな私たちはお構いなしに物語はどんどん進んでいく。でもそれが妙に感じがいい。引きずったさみしさ、切なさが、笑いを携える彼らの日常に溶け込んでいく感覚。
そもそも、この物語世界は黒くて怪しい不思議な感覚を持ったものなんだ。なんせ”悪魔”と“死神”なんだから。
その経過を経て、死という恐怖、孤独のさみしさ、だれかに対する情の切なさは、常に彼らの後ろに轟いていることに気付かされる。原作は知らないけれど、黒執事の世界ってこういうことか、と感じられる。このミュージカルが支持される理由がわかる。
その支持される理由のひとつに、主演の子の存在があると思う。松下優也くん。ほんっとーーに上手かった。役作りも、お芝居も、ダンスも、何より歌が。ほんっと、歌上手い。原作知らないけれど、松下くん演じるセバスチャンが、漫画の中から飛び出してきたように何度も見えた。セバスチャン=松下優也 と言われているらしいけれど、納得。
完璧な執事のごとく、常に背筋を伸ばして、指先までピンと張っていて、歩き方、仕草、喋り方、すべての行動がなめらかで美しい。声もいい。「イエス、マイロード」「あくま(悪魔)で、執事ですから」これらが決め台詞らしく、とっても格好良かった。個人的に、「おねだりの仕方は教えたでしょう?」がすき。(笑) 松下くんもパンフでこのセリフが好きと書いてて、カーテンコールのときも言ってくれた。(笑)
何度も言うけど歌がうまくて、他の人もうまいんだけど、ずば抜けてうまい。調べてみたら歌手活動してるんだね。子どものころから音楽勉強してたって。納得。中3で親と進路について揉めたときに、単身渡米して、自分には音楽しかないって確信して親説得して高校進学せずに音楽の道を進んだって。びっくり。なにその行動力と決断力。中河内くんといい松下くんといい、なんでみんな単身渡米?自分の意志でそこまで行動できるの、ほんとう尊敬する。それでちゃんと結果残してるんだもん。すごいよなあ。輝いてるよ。ああ、だから舞台に立てるのか。
そんでさらにびっくりなのが、松下くん、同い年で、西宮出身。えええーーー!!ご近所さん!!冷静沈着なセバスチャンとは打って変わって、カーテンコールのとき思いっきり関西弁で親近感湧きました。(笑)
あ、でも、劇中でもクールなセバスがたまに崩れることがあって、たとえば、アンダーテイカーに情報提供と引き換えに笑いを提供しろと言われて、シエル「セバスチャン」セバス「御意。…では。……はいどうもどうも~!」って漫才師のごとく出てきて一蹴されたり、アンダーテイカーに愛をくれって言われていきなり関西弁のラブソングを熱唱しはじめたり、セバス「おねだりの仕方は教えたでしょう?」シエル「ワン!」セバス「私、犬はあまり好みません」シエル「ニャンニャンニャンニャン!!」セバススルー。シエル「……にゃぁ~ん」セバス「私の大好きな猫の声が!」とか、、(笑)
原作のセバスがどういうキャラなのか知らないからセバスチャンというキャラとしてどうなのかは分からないけれど、一人のキャラクターとしてとてもユニークで面白かった。加えてギャグシーンでもあまり表情が変わらないから、そのシュールさが更に面白くしているのだと思う。松下くんの柔軟性が感じられる。
中河内くん演じるアランは、舞台オリジナルのキャラクターで、死神派遣協会の優等生。エリックと並んで物語のキーマンになるから、シリアスシーンが多め。女装はあったけど。(笑) 友だちに「女装あるで」って聞いてて、嫌な予感しかしなかったけど、予感的中で笑ったわ。(笑) 中河内くん女装似合わないのはみんな知ってるから!まあだからネタになるんだろうけども!(笑) 女装したままシリアスシーンに移行していくからどうしようかと思ったけど、途中でちゃんと着替えてくれてよかった。(笑)
アランのソロは泣きそうになるくらい切なかった。歌詞は忘れちゃったけど、孤独と、死の切なさと、悲しみを分け合えない悔しさと、エリックへの強い憧憬が心の奥底から滲み出てくるような歌。オルフェウスのときといい、な~んか、中河内くんって切ないメロディラインが似合うんだよなあ。あくまで個人的な意見ですが。中河内くんの歌あまり好きじゃないって意見も聞くし、そりゃ中河内くんより上手い人は他にいっぱいいるけど、わたしはすきです。中河内くんの歌。
アランは真面目な性格がゆえに、”人間の魂を回収する”仕事と、”死神”である自分の存在と、”孤独”への強い畏怖の間で迷走し、苛まれている。孤独の恐怖を知るアランは、人間と死の悲しみを分かち合いたいと思っている。けれど、それは死神として”おかしなこと”で。エリックに対する想いはセリフや行動から伝わってくるんだけど、背景が描かれてないから、なんでそこまで思い入れているのかがわからなかった。尺的に仕方ないんだろうけど、そこがあれば、もっとアランとエリックに色がついたと思う。……ただ単にわたしが見落としているだけなら恥ずかしいけれども。それはない…気が……する。(弱気)
アランが死の棘によって死が刻一刻と迫り来る状態の中で、エリックが「アランは俺にとってひかりだった」と言ったとき、「俺が君にとってのひかりなら、俺はずっと君の隣にいよう。俺がいなくなっても、君を照らせるように」というアランの言葉が印象的だった。ちょっとうろ覚えだけど。
どんな手を使ってでもアランを救おうとするエリックと、既に死を受け入れているアランが対照的で、自分が罪を犯してでもアランの生を願うエリックと、自分が死んだあともエリックの健やかな生を祈るアランの相対的な想いが皮肉なほどに交錯していて、二人の信頼関係と死神らしからぬ情がまざまざしく表現されていたように思う。
エリック役の良知さん、タンブリングで拝見した以来でしたが、相変わらず格好良い‥!!処理科のアイドルも食べちゃった、なんてのたまうちょっと不真面目な顔や、セバスやドルイットに対する飄々とした顔を見せながらも、後輩のアランを常に気にかけていたり、何よりアランの死を認めない情熱的な顔が表れるとき、飽和された場に緊迫した空気を纏ってくる良知さんのお芝居はもー素敵!
あと素敵といえば、グレル役の植原くんが驚きだった。まずあの存在感。まあビジュアルからして一番目立つんだけど(笑)、あそこまで徹底してキャラメイクできるのは素晴らしいと思う。喋り方、仕草、体の角度、動き、エトセトラ。グレルはオネエキャラなんだけど、女の子より女の子らしいよ!(笑) 女の子の動きを本当によく研究してると思う。男らしい動きがひとつもなかった。地面に座り込む所作ひとつとっても、なめらかな曲線を描いた体のラインと柔らかな体の動き。女の子でもそんな女の子らしい仕草しないよっていう、まさにオネエ。歌とダンスもかわいかったー!死神派遣協会のテーマの「ハンサムに会えばその日有休よン(はーと)」ていうときもかわいかった!
ドルイット子爵はねえ、ヒデくん、はまり役すぎでしょ!笑
もう、ほんとに、ナルシストっぷりが絶妙で最高におもしろかった。動きとか、喋り方とか、笑い方とか。ヒデくんのお芝居は初めて見たけど、これは適役なんじゃないかな。ほんっとにうまい。ナルシストで美意識高い感じ。(笑) ほう~ら私の雛鳥たち。ちゅんちゅんちゅんちゅん!のくだりは面白すぎた。
近くにいた人が、ナルシストで変態爆裂なヒデくんを観て「いやだ~」て言ってたけど(どういう意味で嫌なのか分からんけど)、わたしはああいうヒデくんすきだなあ。というか、こういうインパクトある役になりきれるって役者として素敵なことだよね。ヒデくん特に興味なかったけど、ドルイット子爵見てすきになりました。他のお芝居も観てみたいと思った。
アバーラインとハンクスのふたりは、この舞台の緩和剤のような存在。二人のやりとりのだいたいが、お二人が考えたネタで日替わりもあったみたいで、まさにオモシロ要員な感じ。台本かと思うくらい面白かった。役者さんってすごいね…漫才もできるんだね…。(笑)
アンサンブルの皆さんもほんっとに素敵で、作品を色づけるとても大切な役どころだと感じた。彼らの歌やダンスはこの物語の世界観を表現する重要な要素のひとつで、これがあるからこそ、独特な世界になんのひっかかりもなくすんなりと入っていけたのだと思う。
前原加奈さんのオペラは圧巻だった。まさかこんなところでオペラが聴けるなんて思わなくて、まさに一石二鳥。耳が釘付けになった。
本当にこの舞台は溶け込めやすく、熱中しやすいので、気づくと口半開きなんてことも。(笑) それほど、脳髄の奥から楽しんでいました。
死神派遣協会のテーマはほんとに聴いてて観ててたのしい~!ダンスも死神らしくてユニークだし、最後に生執事のテーマとして歌詞が違うバージョンをみんなで歌ってたし、まさに黒執事の世界観にぴったりなんだと感じた。原作知らないんだけどさ。(笑) あまりに楽しくて印象に残ってるから、職場で掃除中に口ずさんでたよ。(笑)
ダンスは多彩で、飽きない。中河内くんのターンがあったの嬉しかったな~。相変わらずきれいだった。
生執事のテーマのとき、歌の合間に中河内くんが「らぁちさあああああん!!」て叫んだの可愛かった。(笑) カーテンコールの挨拶のときも叫んでた。(笑) どんだけ良知さんすきなの!(笑)
今回のはミュージカル黒執事の三作目なんだけど、一作目に雄也くん出てるから観たいな~と言いつつ観れてなかったので、休日に観ました。おもしろいね、このミュージカル。(笑) こりゃ人気出るのも納得だわ~。いくら俳優さんそれぞれにファンたくさんついてるからって、チケ完売ってどんだけだよ、と思ってたんだけど、俳優さんだけじゃなくて、この舞台のファンもいるんだと思うわ。梅芸埋まるってすごいよねえ。
今回の三作目は二作目のリメイク版だから、ほぼ一緒みたいで、さらさらっと観たんだけど、観て思ったのが、確実にレベルアップしてる。特にそれぞれの役作りが、作品を追うごとに濃く深くなっている。当たり前のことかもしれないけれど、すごいことだよね。
そういえば、一作目は(三作目まで変わってない俳優さん以外は)雄也くんと塁斗くらいしか知らないかな~て思ってたんだけど、カイ役の人、なんか見たことあるな…て思ったら、池田屋チェックインの桂役の押野さんだった!桂とギャップありすぎでしょ!笑
ということで、なんのためらいもなくDVD購入決定!あした仕事昼からだからその前に予約してくる!\(^^)/うっきゃっきゃ
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